飽和潜水とは?何メートル潜れる?リスクや訓練方法も

飽和潜水 暮らし・生活

陸上自衛隊のヘリコプターが消息を絶った事故で、「飽和潜水」が注目されています。
飽和潜水とは一体何でしょう。
その訓練方法も気になります。
今回は飽和潜水について調べてみました。

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飽和潜水とは何か?

飽和潜水とは
飽和潜水とは、潜水士が中性浮力を保てる深さで、大気中の酸素濃度に飽和し、通常の潜水途中に途中で浮上して取り込むことが難しい深度にまで潜ることです。飽和潜水には多くのリスクが伴うため、訓練された専門家たちだけが挑むことができます。

飽和って何?
飽和(ほうわ)とは、最大限に満たされた状態の事です。
ある物質が、その温度・圧力条件下で最大限に溶解した状態、または最大限に吸収した状態のことを指します。例えば、水が100℃の温度と大気圧の条件下で飽和状態になると、水は蒸気になって空気中に放出されます。

また、化学反応においても、反応物が化学反応に十分に参加し、反応物質の量が限界値に達している状態を「飽和状態」といいます。反応物質が多すぎたり、反応条件が不適切だった場合、化学反応は完全に起こらず、反応物質が余ってしまいます。

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何メートルまで潜ることができるの?

約600メートルと言われています。
飽和潜水は、通常の潜水よりも深い深度で行われるため、非常に高い圧力がかかります。したがって、潜水士たちは大気中の酸素を飽和させた水中環境で生活しなければなりません。つまり、どの深さまで潜ることができるかは、飽和潜水に用いられる圧力容器の設計や各潜水作業で必要な深度によって異なります。

飽和潜水は非常にリスクが高いため、非常に高度な技術と訓練が必要です。限られた専門家のみ行う事ができます。

飽和潜水によるリスクとは?

飽和潜水は非常に高いリスクがあります。例えば…

  • 窒素中毒
  • 酸素中毒
  • 深部組織症候群
  • 水圧による損傷
  • 爆発事故など

飽和潜水は、通常の潜水よりも深い深度で行われるため、潜水士たちには多くのリスクが伴います。深い深度にいることで、潜水士たちは非常に高い圧力を経験し、それに伴う生体反応もあらわれます。また、突然の緊急事態が発生する可能性もあるため、飽和潜水を行う前には、専門のトレーニングと十分な準備が必要です。

適切な装備や手順に従わない事による事故や、緊急事態の適切な対応が困難であることもリスクの1つです。

飽和潜水が可能な深度に影響を与える要因とは?

飽和潜水が可能な深度には、多くの要因が影響を与えます主な要因は以下の通りです。

    • 潜水士の訓練レベル
    • 圧力容器や装置の設計
    • 水の温度と化学的性質
    • 作業環境の荒れた海の波や潮流など

これらの要因を考慮することで、飽和潜水に用いられる圧力容器の設計や各潜水作業で必要な深度が決定されます。

飽和潜水の訓練

訓練
神奈川県横須賀市にある海上自衛隊潜水医学実験隊(潜医隊)で潜水士の養成が行われています。飽和潜水は、深海での調査や作業をするために特別な訓練が必要です。
どんな事をするのかまとめてみました。

    1. 水中作業技術の訓練
    2. 飽和潜水の理論的知識の習得
    3. 食事管理や医療訓練
    4. チームワークやストレス管理の訓練
    5. 深海潜水訓練装置での訓練

1つずつ見ていきましょう。

水中作業技術の訓練

飽和潜水では、深海での作業が主な任務となります。そのため、水中での作業技術が重要です。潜水士は、水中での器具や道具の使用方法、環境に適した動作の仕方、また潜水中の身体の状態管理などを訓練します。

1.飽和潜水の理論的知識の習得

潜水士は、飽和潜水の原理や、深海での様々なリスク、水中での生活や作業に必要な知識を習得する必要があります。これにより、様々な緊急事態にも対処できるようになります。

2.食事管理や医療訓練

飽和潜水では、長時間の閉鎖空間での生活となります。そのため、適切な食事管理や医療訓練が必要です。潜水士は、飽和潜水前に、栄養学や医療知識の訓練を受け、健康管理に備えます。

3.実地訓練

飽和潜水において、潜水士は実際に水中で作業を行います。そのため、実地での訓練が必要です。潜水士は、飽和潜水設備を使用し、水中作業や遭難時の緊急対応訓練などを実施します。

4.チームワークやストレス管理の訓練

飽和潜水は長時間の閉鎖空間での生活や、水中での作業によるストレスが大きな問題となります。そのため、チームワークやストレス管理の訓練が必要です。潜水士は、チームでの作業やストレス耐性の向上を目的とした訓練を受けます。

5.「深海潜水訓練装置」での訓練


装置の中で、約3日間の加圧→作業任務→3週間かけて減圧が行われます。
その約1ヶ月の間、隊員は閉鎖された空間で過ごします。行動は制限され、24時間の監視がされます。強靱な精神力が必要な訓練です。

・水圧に対する耐性の訓練
深海では、水圧が非常に高く、潜水士にとって負担がかかります。そのため、「深海潜水訓練装置」では、水圧を高めることで、潜水士の水圧に対する耐性を高める訓練を行います。

・水中での作業技術の訓練
「深海潜水訓練装置」では、水中での作業技術の訓練も行います。潜水士は、水中での器具や道具の使用方法、環境に適した動作の仕方、また潜水中の身体の状態管理などを訓練します。

・食事管理や医療訓練
「深海潜水訓練装置」でも、長時間の閉鎖空間での生活に備えた食事管理や医療訓練を行います。潜水士は、健康管理に必要な栄養学や医療知識を習得し、訓練によって健康管理に備えます。

・環境への適応訓練
「深海潜水訓練装置」では、深海環境への適応訓練も行われます。例えば、深海においては光が少なく、水圧が高く、水温が低いなど、様々な環境的な要因が存在します。潜水士は、これらの環境への適応訓練を受け、深海での作業や生活に備えます。

・遭難時の緊急対応訓練
「深海潜水訓練装置」では、遭難時の緊急対応訓練も行われます。潜水士は、様々な緊急事態に備え、適切な対処法を訓練します。

まとめ

飽和潜水の厳しい訓練を受けた潜水士の方々に、深い感謝と感動を覚えます。
命がけの仕事をしている人がいる…そう思うと背筋がシャンとする思いです。
私には想像もできない厳しい任務。無事に完遂される事を心より願っています。